訪問&報告者:吉川 圭太
訪問日:2023年8月4日
めぐるほんや
蜃気楼とホタルイカが彩る歴史の町、まちライブラリー「めぐるほんや」
今回は富山県魚津市にあるまちライブラリー「めぐるほんや」に行ってまいりました。
魚津市は富山県の北東部に位置する歴史深い港町です。蜃気楼の現れる奇跡の地としても知られています。また、春には神秘的なホタルイカの群れが浜辺を彩り、その美しい光景は多くの観光客を魅了しています。
まちライブラリー「めぐるほんや」は、そんな魚津市に誕生したばかりのライブラリーです。
まちライブラリー「めぐるほんや」は北陸自動車道魚津ICのほど近くの住宅街にあります。
少し分かりにくいですが、鮮やかな赤いポストが目印です。
めぐるほんやはオーナーの廣瀬めぐみさんのご自宅の庭先にあり、はめ板がおしゃれな建物です。それほど大きな建物ではありませんがとても落ち着ける雰囲気でした。
もともとはご主人の建築会社の事務所として使っていたものを、事務所が移転した時に奥様のめぐみさんの活動拠点としてリニューアルしたそうです。
めぐみさんは占いやコーチングの仕事もしておられて、そちらの活動の拠点としてして使っており、その中にまちライブラリーの本棚があります。そのほかに趣味でやっている編み物の作品の販売などもしておられました。
以前は保育士の仕事をしていたそうで、それがきっかけで絵本が好きになり、集めていた絵本などを利用者の方にも読んでもらいたいということでまちライブラリーを始めたということでした。
ゆくゆくは絵本のセレクトショップや中古の絵本の販売もしていきたいという展望もあるそうです。
その日ごとの今日の絵本を紹介、私が訪れた8月4日は「三びきのやぎのがらがらどん」という本でした。
8月4日は「はしの日」ということで、橋の絵本といえばということで、がらがらどんを選んだそうです。
「めぐるほんや」の本棚紹介
本棚は2つあって絵本が中心です。
絵本が多いので子ども向けなのかなと思ったら、実はめぐるほんやは子どもNGの『おとなの絵本屋さん』なのでした。
大人こそ絵本で癒やされたり、勇気づけられたり、感情を出せたり、安心できたりしてほしい。大人こそ絵本をの世界を味わって欲しいというコンセプトがある『おとなの絵本屋さん』でした。
まだ、まちライブラリーを始めたばかりなので本の数は多くないですが増やしていきたいということでした。
オススメ絵本のコーナー
オーナーのめぐみさんのオススメの絵本が並んでおり定期的に入れ替えていく予定だそうです。
伺った時のオススメコーナーには「14匹シリーズ」が並んでおりました。
めぐるほんやのオーナーの廣瀬めぐみさんにインタビュー!
——— 子どもNGの絵本屋さんて珍しいと思うのですが、どうしてですか?
絵本屋さんだから子どもを連れてくると、お母さんやお父さんはどうしても子どもの方に目がいってしまって、大人が絵本に集中できなくなってしまう。
私は大人の人に絵本を大事に読んでもらいたいという思いがあるので、じゃあ大人だけの絵本屋にしようと、なので中学生以上しか来れないスペースになりました。
「この子はおとなしいので大丈夫です」とか、「赤ちゃんで寝ているだけなんで」というのも、申し訳ないですがNGにしています。なんとかして自分の時間を作ってここに癒されに来てほしい。絵本で癒やされたり、勇気づけられたり、安心できたりしてほしいんです。
——— まちライブラリーを始めたきっかけは?
富山新聞で県内のまちライブラリーの記事がきっかけです。
3月31日の新聞です。それよく覚えていて、その日に県議会の選挙の候補者のお手伝いで出陣式があったんです。
いつもは朝一に新聞を読むんですが、その日は朝から神社のお参り行ったりでバタバタしていて、やっと夕方に落ち着いて新聞を読んだらまちライブラリーの記事が出ていたので、すごく3月31日っていうのを覚えていて、その記事を今でも大切にとってあります。
——— オススメの絵本作家さんってありますか?
ヨシタケシンスケさんがオススメです。
実はまだ、ヨシタケシンスケさんの本はここに一冊も無いのですが、図書館とかで読んですごくよかったので、全部集めてヨシタケシンスケコーナーを作る予定にしています。
ちょうど新潟で個展もやっているので、それにも行こうと思ってます。
——— すごくいろんなことに挑戦していますが、その原動力は?
5年前くらいにやっと自分で認めれたんですけど、自分が結構すぐに飽きること、でもその分いいなって思ったことはすぐに始められること、そしてそれがたくさんあるってことに、それが自分の変えられない性格だって気がついきました。
私の親世代からすると、一回就職したらずっとそこで勤めるのが当たり前っていうのがあったと思うんですけど、私はいくつも仕事を変わってきているし、それでも生きていけているし親にもなることができました。
それでまちライブラリーも始めれているので、やりたいことをやらなきゃもったいないよねってことで、どんどんやりたいことをやれるんだと思います。
——— 壁に藤子不二雄の原画が飾ってありますが?私も藤子不二雄のSF短編集が好きなんですが……
これは私が藤子不二雄先生が大好きで、最初家に飾ってあったのですがここに飾っちゃおうと。
SF短編集、私も全部ハードカバーで持ってます!すごく面白いですよね。藤子不二雄先生の「SF=少し不思議」っていうのが良くて、これをみんなに知ってもらいたいないって思います。長女も私に影響されてSF大好きで読んでいますね。
こうやって、飾っていると他にも原画を飾りたいなって思うので、藤子不二雄ミュージアムに行ってまた買ってこようかなって思っています。
大人が癒される特別な絵本屋さん「めぐるほんや」
「めぐるほんや」には、日常から一歩引いた特別な時間が流れています。そこには、日常を豊かにする絵本の魔法が溢れています。
めぐみさんの語る絵本への熱い思いや、絵本がもたらす癒やしや感動は、私たち大人にこそ伝わるもの。また、彼女の多彩な経験や挑戦の背景には、人生の豊かさを追求する姿勢が垣間見えました。
特に印象的だったのは、「おとなの絵本屋さん」としての独自のスタンス。子供時代に絵本と触れ合うことの多い私たちが、大人になってもその魔法を忘れずに感じることができる場所として「めぐるほんや」が存在しているのは、素晴らしいことだと感じます。
日々子育てに追われる親御さんたちも、自分を取り戻す穏やかな時間を得られます。
今回訪れてみて、絵本の世界の魅力に気づけたことは、私にとっても貴重な経験となりました。これからも「めぐるほんや」の活動を応援していきたいと思います。