
訪問&報告者:スミレ
訪問日:2025年12月2日
毎日ご飯を食べるように映画を観ています──そんな夏りょうこさんのシネマライブラリ「EndMark(エンドマーク)」は大阪・空堀商店街から住吉区へと移転し2025年2月に再オープン。そして5月1日には2周年を迎えた。
知る人ぞ知る、映画好きが集まる“映画に特化したまちライブラリー”である。
EndMarkの特色のひとつは、山口県の映画館で実際に使用されていた本物の劇場椅子が並んでいるこ
とだ。そして100インチのスクリーンがある。予約をすれば上映会やイベントなどで貸し切ることも
できる。
夏さんは数々の不思議な縁に導かれるように、人と場所と映画をつなぎながら、今に至る。これまで
の歩みや店名の由来については、ぜひ夏さんご本人の著書『空堀シネマライブラリー EndMark 誕生
物語』を読んでみてほしい。
EndMarkに入ってまず驚くのが壁一面の膨大な数の映画パンフレットだ。日本だけでなく世界中の映
画が「あいうえお順」に並んでいる 。一般的な冊子の形をしたものはもちろん、今話題のZINEのよ
うに、タイプライターやスーツケース、開封するのが勿体無いと感じてしまうほど綺麗にラッピング
されたプレゼントのような形など、ぱっとみて映画のパンフレットだとはわからないようなものまで
勢揃いだ。
パンフレットには監督や俳優のインタビュー、評論家のコラム、作家や歌手など異業種の寄稿も載
る。
そしてそれらの多くは そのパンフレットでしか読めない貴重な文章 だ。
今のようにNetflixやAmazonなどの配信はなく、家で映画を楽しむ手段が限られていた時代。
人々は映画館を出たあと、その余韻をいつまでも味わいたくてパンフレットを買った。写真も豊富
で、その映画が公開された当時の空気が詰まっている。
しかし映画のパンフレットを見たことがない若い世代も増えていて、
パンフレットの存在自体を知らないという人さえいるのだという。
「公式サイトがあればいいと思うかもしれないでしょ?」と夏さんは言う。
「でも公式サイトは一定期間が過ぎると消えてしまうんです。」
パンフレットに残る言葉や写真は、その時にしか生まれなかった“記録”であり、作品をめぐる空気や
熱まで閉じ込めた小さなタイムカプセルのようなものだ。
「この貴重なパンフレットを若い人にも知ってもらいたいんです。そしてパンフレットをゆっくり読
んでほしい。だってここはライブラリーだから。映画の調べ物にもぜひ使ってほしい。
映画をきっかけに、ここから人と人がつながってくれたら嬉しい。」
こうした話を夏さんは次から次にパンフレットを私に見せながら教えてくれた。
最後にもう一つ。
ぜひ「セリフ占いガチャ」をご紹介したい。
あの今大人気のガチャがなんとEndMarkにも置いてあるのだ。
300円でコインを入れると、映画の中で実際に使われたセリフがプリントされた缶バッジがひとつ出
てくる。これがまた不思議と「今の自分に必要な言葉」が出てくる、と評判だ。
ちなみに私が引いたのは──
「どんなことも いつか丸くおさまる」(『83歳の優しいスパイ』2020年・チリより)
実はちょうど、あるイベントの準備で頭を抱えていた時期だった。行き詰まりかけていた私にとって
ぴったりのメッセージであることに驚いた。帰宅後どうしてもその映画が観たくなり検索すると、
Amazonプライムで配信中。視聴するとテーマがなんと、いま抱えているイベントの内容とリンクし
ていたのである。ドキュメンタリーであるこの作品についてもっと詳しく知りたくなって来た。そう
だ!パンフレットを見にもう一度EndMarkに行こう!
『映画はエンドマークで終わり、映画ファンはエンドマークから生まれる』
これ…まさにEndMarkのキャッチコピーそのまんまではないか!






