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第3回 オーナーズフォーラム (2021年4月21日)報告

まちライブラリーを始めた理由は何ですか?

みなさんが様々な動機で取り組んでいる中で、第3回のオーナーズフォーラムには、地域コミュニティを作ることを目的に富山と京都でそれぞれまちライブラリーを始めた二人のオーナーが登場。

まちライブラリーの活用法や独自の取り組みが紹介され、参加したオーナー約30人とともにより豊かな運営のあり方について考える場となりました。

また後半は、まちライブラリーの特徴でもある「メッセージカード」の使い方について意見を交わしたところ、色々なアイデアを共有することができました。

役立つ情報が満載となったフォーラムのレポートをどうぞお読みください!

 

事 例 発 表

【事例1】◇まちライブラリー@イーラボ (富山県小矢部市)

発表者 山科森さん

「印刷会社の仕事=人を繋ぐツールを提供すること」

「父が社長で、僕も働いている印刷会社の中でまちライブラリーを開いています」と話しながら、山科さんはパソコンのカメラで社内を映して発表を行いました。まずは、コミュニティスペース「利他スタジオ イーラボ」がある2階からスタートです。この場所は、山科さんが会社を手伝い始めた10年ほど前に、印刷会社の仕事の意味を考えたことがきっかけだったそうです。たどり着いた答えは「名刺であっても、チラシであっても、すべては誰かと誰かを繋ぐツール。人を結ぶコミュニケーションツールを提供することが僕らの仕事」ということでした。そこで、印刷物ではなくても繋がるツールを準備しておこうと、コミュニティスペースを設置。会員や仲間たちから寄贈された本を集めた本棚などが置いてあります。

なお、この場所についてコロナ前は「利他クラブ」だった名称を、現在は「利他スタジオ」に変更したことを明かしました。「由来は、相手のために何か行動するという『利他』心です。コロナで人が集まれない中で、多くの人が集うことを求めるのではなく、1対1や1対2ほどの小さいコミュニティの繋がりを深めていくほうが重要だなと考えが変わったのです」。また、あえて小さなコミュニティを目指すことについては「僕の感覚では、単に営利目的ではなく、運営者である僕もワクワクするかどうかを優先したいなと思っています」と説明しました。

 

「本当の自分」を見つけた人との繋がりを求めて

続いて、1階に移動して玄関にある駄菓子屋コーナーと本棚の紹介です。近くの中学生が自転車に乗って駄菓子を買いに来てくれるそうで、外に置いたバスケットボールのゴールにフリースローを決めたら駄菓子を一つプレゼントという企画をしています。狙いについて「興味を持って、この場所に来てくれた人を大事にしたいと思っています」と、にっこり。ちなみに、1階の本棚の一番多く利用しているのは山科さんのお父さんとのことで、「この場が無ければ、僕がセレクトした本を父が読むことはなかったので『なんか良い場所だな』と思っています」と親子のエピソードを披露しました。そのほか、養蜂にも取り組んでいて、採れた蜂蜜は「はちみつうか」と呼んで、お金以外のものと交換しているそうです。人と人が繋がって生じる面白いことに興味があるためで、これまでにインスタグラムを通じてクラフトビールを作っている人や猪肉を捕った人との交換が実現しました。

まちライブラリーや養蜂、コミュニティスペースなどの活動を通じて山科さんが目指すのは①仕事、②社会貢献、③ワクワクすることの三つを掛け合わせた生き方をしている人と繋がることです。三つに通じる名刺を「ど真ん中名刺」と呼んで、相手と話し合いながら製作しています。「本当の自分を見つけて活動している人たちとの繋がりが、さらに新しいことを生むと想像するとワクワクするんです」と話しました。

 

 

【事例2】◇まちライブラリー@つねよし百貨店 (京都府京丹後市)

発表者 東田一馬さん

「FB投稿がきっかけ お店の中にライブラリー」

東田さんの発表は、つねよし百貨店にまちライブラリーができるまでの経緯からスタートしました。京都府京丹後市にある人口400人ほどの「常吉」という小さな集落に、24年前に地域の人たちでお金を出し合って始めた「つねよし村営百貨店」が、現在の「つねよし百貨店」の原点だそうです。日用品などを販売するお店でありつつ、人が繋がる地域コミュニティの中心になっています。そのお店の中に2021年2月、まちライブラリー@つねよし百貨店が始まりました。

 

ただ、元々は図書館を開きたいという思いではなく、お店の奥にあるコワーキングスペースに増えた本を整理するために本棚を作りたいと思っていたとのことです。Facebookに「本棚を作りたいので教えて欲しい」と投稿したところ、50人ほどからコメントが寄せられ、本棚作りにとどまらず、図書館にするところまで話が大盛り上がり。ちょうど東田さんの息子さんが10歳で、「2分の1成人式」の際の作文の中に「本を読んで勉強したい」と書かれていたことも、まちライブラリーを始める強力な後押しになったそうです。また、2020年はコロナの影響でこれまでのようにイベントが開けなかったものの、本の貸し借りであれば密にならずにコミュニケーションが取れると考えました。

 

本棚の有料オーナー枠は満席 小学生の絵本作家も

まちライブラリーを始めるにあたっては、Facebookに作った「準備会」のグループを活用。本棚の製作や、有料の本棚オーナーの募集を行いました。本棚オーナーは原則、年間契約(年額2400~4800円)で、15個ある棚はすべてオーナーが決まったそうです。オーナーは、お店のお客さんやSNSで繋がった人たちで、棚の本のジャンルは様々。「丹後の歴史のほか、保護猫の活動をしている人は猫関連、福祉の仕事をしている人は介護や障がい関連など、オーナーさんによって個性があって楽しいです」。棚のうち一つは月替わりで、4月のオーナーは小学3年の女の子。紙に女の子が絵とストーリーを描いて、紐で綴じたものを絵本として置いているそうで、東田さんは「創作意欲に燃えていて、4話まで続いています」と笑顔で紹介しました。

 

まちライブラリーを始めて約2か月が過ぎ、本を通した人の繋がりを実感しているそうです。買い物に来たついでに本を借りたり、返したりなど、「若い世代から高齢者、障がいのある人も含めて色々な人が繋がることができて、いい感じで回っています」。今後はピアノやコーヒー、手品などと本を組み合わせた催しなどを開く予定です。

 

◇今日のツッコミコーナー~「メッセージカード」の活用法~

感想カード、まちライブラリーがもっと楽しく

フォーラムの後半のテーマは、まちライブラリーの特徴の一つで、本の寄贈者や読んだ人がメッセージを書き連ねていく「メッセージカード」の使い方についてです。なお、今回の参加者の半分弱の方がメッセージカードを使っていて、各自のアイデアを紹介したほか、導入を検討している人からの質問に答えるなどの交流の場となりました。それぞれの取り組みを下記にまとめました。

 

まちライブラリー@もりのみやキューズモール(大阪市中央区)】

・寄贈本を受け取った際は、メッセージがたくさん書かれた本を見せながら「必ずメッセージを書いてください」と伝える。書くのが苦手という人も、たくさん書かれたものを見ると「書こうかな」という気になる。メッセージが多いものはカードが2冊になっているものもある。

・自分がメッセージを書くと、その後に読んだ人もメッセージを書くので、「カードを読み返すのも楽しいですよ」「あの人はこの本も読んでいる」など、メッセージカードで生まれる人との繋がりを伝える。

・本のタイトルは伏せた状態で、メッセージカードだけを読んで本を借りてもらうイベントを開き、メッセージカードを読む楽しさを実感してもらう。

 

まちライブラリー@ミズキー文庫 (横浜市港北区)】

・寄贈本を受け取った際は「本に対する熱い思いを語ってください」と伝え、書いてもらうようにしている。

・メッセージカードをコピーして、掲示板で紹介。他の人が書いたメッセージを参考にして、自分も書いてもらうよう促している。

 

まちライブラリー@ひびうた文庫 (三重県津市)】

・一度に500冊など大量に寄贈してくれる方に対しては、メッセージカードを書いてもらうのが難しいこともある。そういう場合は、私たちが運営する障がい者サービス施設で働く障がいがあるスタッフに書いてもらっている。またメッセージカードは本と並べてポップ代わりに飾っている。

繋がる感想 支え合いや勇気の源に

各ライブラリーの取り組みを聞いて、まちライブラリー提唱者でメッセージカードを考えた礒井純充氏は「こんなに感想カードを使ってもらっていると初めて知りました。ありがたいです」と驚いた様子。また当初、メッセージカードは説明することが手間なので成立しないという意見があったものの、「コミュニティは面倒くさいところがあったほうがいいんじゃないか」との思いで始めたことを明かしました。続けて「自分が感想を書いた本に、誰かが続けて感想を書いてくれることで支えられたり、勇気がわいたりすることがあると思います」と話し、これからもメッセージカードでの交流が生まれることを期待しました。

 

次回のオーナーズフォーラムは…

5月12日(水)19:30~の開催です。

事例発表は子どもと若者の図書館「衣笠駅徒歩1分図書館」さん。

「本日のツッコミ!」は、「あなたの『自慢の一棚』、見~せてっ!」です。

今回もまちライブラリーオーナーのみ参加可能。募集のメールをお送りします。たくさんの方のご参加、お待ちしています!

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