探訪&報告者: 宝水幸代
「まちライブラリー探訪記を書いてみてくださいよ」
ライター業を始めて8年間。「職人」として、出来うる限り自身を入れず、クライアントやインタビュイーのことを書き続けてきました。
そろそろ自分のことばで書いてみたいという欲がでてきたところに、礒井さんからのご提案。これは乗るしかないですね!
さて、どこから始めようかしら?
と考えていたのですが、その日はちょうど東京出張中。
「せっかく東京に来てるんだから、南町田に行ってみたら?」
という礒井さんからの提案を受け、田園都市線ってどこや?と渋谷で迷ったりしつつ、南町田へ行ってまいりました。
暮らしに隣接する、まちライブラリー
南町田グランベリーパークは、町田市と東急株式会社による再開発エリアのこと。
アウトレットモールやスヌーピー・ミュージアムなどの商業施設と鶴間公園からなる複合施設です。
訪れたのはクリスマス・シーズン。クリスマスツリーやイルミネーションの煌びやかさに、わくわくします。
まちライブラリー@南町田グランベリーパークがあるのは、ショッピングモールと鶴間公園を結ぶパークライフ・サイト。普段の暮らしの中に、本のある場所があるって、すてきですよね。
木々に囲まれた、心地よい空間
とても寒い日でしたが、木製の本棚や家具、そして大きな窓から入ってくる陽気のおかげかほっこりとした暖かさに包まれ心がほぐれました。
どんな本が置いてあるのかな?と眺めていると、
「本棚には隣接する鶴間公園の木を使っているんですよ」と、スタッフさんが声をかけてくれました。
そうなんですか、と見渡すと、ひとつ一つの本棚になにやらPOPのようなものが。
「ここの家具などを作ってくれた方が、ワークショップでそれぞれの木について教えてくれたんですよ」
木の種類や特性について教わったことを、参加した子どもたちがPOPにしたものを飾っているのだそうです。
自然の木を使っているので木目はもちろん、こんなものまで生かされていました。
木のウロをそのまま使っているので、本の底が見えるんです!
世界に一つだけの本棚、面白いですね。
本棚だけではなく、テーブルや椅子などの家具も鶴間公園の木でできています。そもそも本棚などを作るために準備した木、というわけではなく、再開発にあたって伐採した木を利用しようという流れだったので、十分に乾燥できないまま使っているそうで
「乾燥するに従って、いずれ縮むことも考えてデザインされているんです」
テーブルの足に入ったスリットなど、緻密に計算されているのが見えました。
目指すのは「みんなの居場所」
さて、本の話に移りましょう。
蔵書数は倉庫に入っているものを含め約1万2千冊。すべて寄贈によるものです。
ときどき入れ替えを行なっているので、新しい本に出会える楽しみもあります。
本棚の上の方にはさまざまな分野の本やスヌーピーに関する本、子どもたちが手に取りやすい下の方には絵本や児童書などが配置されています。
まちライブラリーの下の階には児童館があり、そこにも本が置かれています。
たくさんの子どもたちが、本と出合える場所になっているんですね。
「放課後には中学生が勉強しに来てくれたりもしています」
まちライブラリー@南町田グランベリーパークが目指しているという「みんなの居場所」になっていることを感じました。
初めて訪れたわたし自身、居心地の良さに数時間ゆっくりさせてもらいました。
本との出合いを楽しんだり、原稿を書いたり、ゆったりと公園の自然を眺めたり。近くにあったら通うだろうな…などと考えながら。
だんだんと日が暮れていく様も、とても美しかった。
ね。感動的でしょう。
すっかり暗くなり、スタッフさんたちに別れを告げて外に出ると。
なんてステキなんでしょう!
建物にまで、温かく見送ってもらった気持ちになりました。
鶴間公園の木々に、季節の移ろいを感じながら読書を楽しめるまちライブラリー@南町田グランベリーパーク。
また行きますね!